患者様へ

はじめに

当科は関節リウマチをはじめとした膠原病中心に診療しております。膠原病は原因不明のいわゆる「難病」ですが、軽症のものから生死にかかわるような重症となるものまで様々です。つまり、治療も不要で、ちょっとした生活の注意のみでよい場合もある一方で、ステロイドや免疫抑制薬をたくさん使用しても改善せず、むしろ副作用も出て入退院をくりかえすような方もいらっしゃるのが現実です。

最近の膠原病の検査や診断法は目覚ましく進歩してきましたが、まだ診療の第一歩である「診断」がむずかしいのが現状です。すなわち、本当は膠原病であるのに適切な治療が受けられないで徐々に悪化する方もいれば、膠原病ではないのにステロイドや免疫抑制治療を受けて、副作用で困っておられる方もいらっしゃいます。したがって、まずは専門医にしっかり診断を確かめて頂くことが大切です。

画像:診療風景

 

画像:診療風景

最近の膠原病の治療では、新しい免疫抑制薬の登場や、様々な生物学的製剤が導入され、良くなる方が増えています。しかし依然一部の方では、これらの新しい治療をおこなっても十分に改善しない場合や、お薬の副作用で入院を余儀なくされる場合もあり、いまだに「難病」と言えます。当科ではこのような難病である膠原病の方々に対して、新薬の治験や、新しい治療戦略を考案して有用性を確かめる臨床研究をしています。

膠原病でお困りの方、膠原病かもしれない、とご心配の方は、ご遠慮なく当科を受診して頂き、診断を確かめ、治療方針についてもご相談頂ければと存じます。

 

初診について

8時30分から11時の間に、1階新患受付にて受付を済ませてください。
初診担当医師が診察します。
他院かかりつけの方は、紹介状を頂いてから御来院ください。
その際、紹介状だけでなく、投薬内容の手帳なども御持参ください。

※2021年9月現在、外来が大変混み合っておりますので初診後の

次回受診日が1ヶ月程度先になる可能性がありますことを御了承下さい。

 

再診について

完全予約制ですが、曜日で医師が決まりますので、初診担当医と御相談ください。担当日は外来担当表を参照ください。

採血や検尿がある方は、結果が出るまで約1時間程度お待ち頂いております。
検査内容、病状により診察の順番が前後する場合が御座いますのでご了承下さい。

 

 

 

  月曜日火曜日水曜日木曜日金曜日土曜日
午前 再診 倉沢 隆彦 天野 宏一

天野 宏一

近藤 恒夫 倉沢 隆彦

倉沢 隆彦

(第2・第4) 

初診・予約外 酒井 亮太 柴田 明子 小川 祥江 長澤 逸人 酒井 亮太

吉永 正一

午後 再診   近藤 恒夫 柴田 明子   近藤 恒夫  
  天野 宏一         
 午前午後
再診 初診
予約外
再診

倉沢 

岡田    

 天野

柴田 近藤 岡田

天野

岡田

 

小川

柴田  

近藤 

長澤    
倉沢 酒井

近藤

 

伊藤

(第2・第4) 

交代制    
予約外の受診について

まずはお電話にてご連絡をお願いします。
リウマチ・膠原病内科外来 TEL 049-228-3569(平日・土曜日 9時~17時30分)
ER外来 TEL 049-228-3595 (夜間・17時30分から翌朝8時/休日)

 

セカンドオピニオンについて

ご相談される内容をあらかじめご連絡ください。
医務課 庶務係(セカンドオピニオン担当)
TEL 049-228-3410/FAX 049-226-1567

受診に関する詳細については、埼玉医科大学総合医療センターのホームページをご覧ください。
埼玉医科大学総合医療センターホームページはこちら
http://www.saitama-med.ac.jp/kawagoe/index.html

 

 

 

膠原病とは

膠原病は、臓器別の病気、例えば、心筋梗塞は心臓の病気、ネフローゼは腎臓の病気、などのように、どの臓器の病気か説明ができないような、全身の複数の臓器の血管や結合組織に、ほぼ同時に炎症が起こる疾患です。1942年にクレンペラー博士は、このような疾患を、結合組織の主要成分である膠質コラーゲンと血管の病気と考え、”コラーゲン・血管病“と呼び、日本でこれが「膠原病」と翻訳されました。
膠原病では、病原体から体を守るために人間がもともと持っている「免疫(めんえき)」というシステムに異常を来たして、外敵である病原体ではなく、自分の細胞や組織を攻撃してしまうことが起きていると考えられています。ではなぜこのような異常な免疫反応がおこるのでしょうか? 残念ながら真の原因はまだ不明です。膠原病になりやすい遺伝的な素因についても研究は進められておりますが遺伝病ではありません。ですから親や兄弟が膠原病でも必ずしも自分が膠原病になるとは限りません。むしろ膠原病患者の多くはそのような遺伝的背景が全くないのに発症しています。

膠原病を疑う症状

  • 朝の四肢のこわばり
  • 多関節痛
  • 原因不明の発熱
  • 筋肉痛/筋力低下
  • 日焼けした数日後、発熱や関節痛、全身に紅斑ができる
  • 口や陰部に潰瘍ができやすい
  • 糖尿病でもないのに口や眼が乾く(他院でドライアイと診断されている)
  • レイノー現象(寒い時や精神的刺激で手が白くなる)

膠原病の主な疾患名

  • 関節リウマチ
  • 悪性関節リウマチ
  • 全身性エリテマトーデス
  • 強皮症(全身性硬化症)
  • 多発性筋炎/皮膚筋炎
  • 混合性結合組織病
  • 顕微鏡的多発血管炎
  • シェーグレン症候群
  • 成人発症スチル病  など

 

膠原病の治療

膠原病の治療は基本的に対症療法といえます。したがって、治療対象となるような「症状」がなければ、原則として治療はしません。
たとえば、リウマトイド因子が陽性と健康診断で指摘されても関節炎がなければ治療の必要はありません。
強皮症でレイノー現象だけならば保温や軽い血管拡張薬などの対症療法のみでよいと思います。

関節リウマチの治療

メトトレキサート(MTX)という元々抗がん剤であった薬剤をうまく使用することと、TNFαやIL-6といった炎症性サイトカインを抑える生物学的製剤という薬剤が2003年から使用できるようになり、この10年あまりの間に大きく進歩しました。
当科でも積極的にこれらを使用して、「寛解」という良い状態になって通常の生活ができている患者さんが多くなってきたのを実感してきました。
一方、感染症(肺炎など)で入院する患者も以前より増加しており副作用には注意が必要で、私たちも慎重にこれらの製剤を使用するよう心がけております。
また、これらの製剤は注射製剤で使用が面倒なことと、高価であることが問題であり、使用すべき患者さんでも経済的理由など医学的では無い理由で使用できないのは私たちも大変残念です。
これらの薬剤は病気の勢いが強い時にはじめに使用することが重要であり、思い切ってはじめに使用し、良くなったら減量や中止を試みるというのが良いと思います。
うまく行けば、完全に薬を止めても関節炎無い状態(治癒かも?)を維持できるかもしれません。

生物学的製剤について

準備中

関節リウマチ以外の膠原病の薬物療法

過剰反応をおこしている免疫反応を抑える、いわゆる“免疫抑制薬”が主体となります。中でも、副腎皮質ステロイド薬(以下ステロイド薬)は今でも膠原病治療の中心となっています。しかしその副作用は、特に長期使用された場合、顔面や腹部に脂肪が蓄積すること(満月様顔貌、中心性肥満)、コレステロールの増加、糖尿病、高血圧、骨粗鬆症や大腿骨頭壊死など骨の異常、白内障や緑内障などの目の病気、皮膚が薄くなり皮下出血がでやすくなる、などきわめて多岐にわたる有害事象があります。
しかし膠原病で肺や腎臓などの重要臓器が障害され、治療を急がなければならない患者さんに対しては、やはり即効性で確実性のあるステロイド薬が必須となります。
最近ではほぼ同時に免疫抑制剤を併用することがステロイドの使用量を減らして副作用を軽減することができると考えられています。
当科でもできるだけステロイドを減量できるように免疫抑制薬の併用を積極的に試みております。

将来ステロイドや免疫抑制薬を中止できるかは、今まではほぼ不可能と信じられていましたが、一部の患者さんではそのようなことも可能となっています。
一部の患者さんかもしれませんが、「膠原病は治る可能性がある」と信じています。
主治医を信じ、希望をすてないで、あまり悲観的になりすぎないようにして一緒に治療を行っていきたいと考えております。

ステロイド薬の副作用

特に注意すべきもの
  • 骨粗鬆症
  • 感染症
  • 糖尿病
  • 高脂血症
  • 動脈硬化
  • 白内障/緑内障
  • 胃潰瘍
  • 筋力低下
  • 中断時の副腎不全
比較的減量で軽快
  • にきび、多毛症、皮下出血
  • 食欲増進
  • 満月様顔貌、中心性肥満
  • 浮腫
  • 月経異常、ほてり
  • 精神状態の変化(多幸症、うつなど)
埼玉医科大学総合医療センター リウマチ・膠原病内科

埼玉医科大学総合医療センター リウマチ・膠原病内科

〒350-8550 埼玉県川越市鴨田1981

TEL:049-228-3400(代表)

診療日 月曜日~土曜日(祝日・年末年始を除く)
診療受付時間 8:30~11:00

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