研究について
研究について
私達の教室では関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、血管炎等の膠原病など、発症原因・メカニズムが明らかではない疾患を多く扱います。診療で病気を治療することに加えて、病気の原因・発症メカニズムや新規治療薬・治療戦略を日々探索しております。
当科初代教授である安倍達先生(現埼玉医科大学名誉教授)、竹内勤前教授(現慶應大学医学部リウマチ内科教授・兼慶應大学病院院長)、天野宏一現教授と、『Bedside to Bench、Bench to Bedside』を念頭においた診療体制が構築されており、臨床に活かせる研究をモットーに日々研究に取り組んでおります。
埼玉県内または近県からの豊富な症例が集まりますので、全国的な治験、多施設共同研究に多く参加し実績をあげています。加えて当科独自の自主研究を行っており、その成果を国内外の学会で報告しております。また、慶應大学医学部リウマチ内科と共同で、複数のプロジェクトが進行しております。現在、20以上の臨床研究とそれに付随した基礎研究を行っております。
代表的研究
- 関節リウマチにおける各生物学的製剤、新規低分子化合物の有効性・安全性と検討
- ループス腎炎の新規治療戦略の探索、全身性エリテマトーデスの発症メカニズムの解明
- 血管炎の新規治療法の検索
- リウマチ性多発筋痛症の疫学研究と新規治療戦略の探索
- ステロイド骨粗鬆症の治療に関する臨床研究
当科における新たな治療のチャレンジ
- トシリズマブ+MTXで寛解となった関節リウマチ患者におけるMTX中止の可能性に関する研究;抗がん剤であるMTXを長期使用しなくてもトシリズマブという生物学的製剤だけで良い状態(寛解)を維持できるかどうかを確かめています。
- トシリズマブの投与間隔延長試験;トシリズマブを使用中に寛解となった関節リウマチ患者で、トシリズマブの投与間隔を4週から6週にのばしても、効果を維持しながら、通院回数や経済的負担の軽減ができるかどうかを確かめています。
- アダリムマブ+MTXで寛解となった関節リウマチ患者で、高価なアダリムマブを中止しても寛解が維持できるかを、関節エコーを使って軽微な再燃さえもないことを確かめています。
- 関節リウマチにトファシチニブを使用してその効果と安全性を確認し、寛解後に中止できるかどうか、という研究を始めています。
- ループス腎炎に対して、シクロホスファミドとタクロリムスの2種類の免疫抑制薬を使用して、有効性と安全性およびステロイドの減量効果があるかどうかを調べています。
- 成人発症スティル病、大血管炎(高安動脈炎と巨細胞動脈炎)、リウマチ性多発筋痛症、顕微鏡的多発血管炎の各疾患で、ステロイド治療を行わず、トシリズマブ単独で治療ができるかどうかを確かめる研究を実施しています。
- 多発血管炎性肉芽腫症と顕微鏡的多発血管炎に対して、リツキシマブを使用し、効果と安全性を確認する研究を行っています。
- テリパラチドの治療を終了したステロイド性骨粗鬆症患者で、終了後の治療としてデノスマブとビスホスホネート製剤のどちらが良いかを比較する研究を行っています。